再診・CT・MRI ー乳癌になりまして③ー


 再診 2020.11.25

〇 この日の流れ
CT検査→造影MRI検査→診察
〇 お会計
¥8,650(保険診療3割負担の金額)

CT検査

 この日は、まずCT検査からでした。
金具のない下着で行ったので、服を着たままで大丈夫でした。
午前11時からの検査でしたが、食事制限無しでした。
台の上に仰向けに寝ていたら、あっという間に終わりました。

造影MRI検査

 次はMRI検査でした。
MRI検査は、今まで何回かやったことがありますが、胸を調べるのも、造影剤を使って調べるのも初めてです。
ちなみにスズメは、狭いところが好きなので筒の中に入るのは平気ですし、大きな音の中でも寝られる質です。
でも、今回はちょっとドキドキしました。

 名前を呼ばれてロッカーに案内されました。
そこで服を脱いで検査着に着替えるように言われました。
前を紐で結ぶ甚平のような検査着に着替えて出ると、次に処置室のイスにかけて待つように言われました。
しばらくすると看護師さんが来て、左腕に点滴の針を刺してくれました。
ここから造影剤が入っていくのですね。

 放射線技師さんに、金属が付いたものはないかと確認されました。
その後、一緒にMRIの機械がある部屋に入りました。
寝台に胸が入るように穴があいた物が置いてあり、そこに検査着の前をはだけて、うつ伏せに寝ころびました。
この時困ったのは、コロナ禍でマスクをしたままだったこと。マスクが密着したまま身動きとれず、筒の中に20分も入ったら死ぬーと思ってゾワゾワしました。
素早くマスクと顔の間にうまいこと隙間をつくって寝ころびました。準備OKです。

 居心地が悪くないかを放射線技師さんも確認してくれて、何かあったら押してくださいと右手にブザーを握らせてくれました。
それから、騒音防止用にヘッドフォンをつけてくれました。
技師さんは、別室でモニターするけれども、スズメさんの声も聞こえるしブザーもあるので、気分が悪かったりしたらすぐ知らせてくださいと言ってくれました。

 寝台が動いた感じがあって、私は動かないようにじっとしていました。
カカカカカカカカ ビーーーーーー ピコンピコンピコン…
しばらくして「これから薬が入りますので、気分が悪くなったらすぐ知らせてくださーい」と聞こえました。
造影剤が入っても、特に変化なく、ウツラウツラしていたら終わりました。
針を抜いてもらって、私は着替えて、そのあと外科受付へ向かいました。

行きつく先が見えない樹形図が見えている

 「胸にまたしこりができて気になるから、いつものとこ行って診てもらう」と夫に話した時、夫は「そこで大丈夫なの?大学病院とか癌の専門病院じゃなくて」と言いましたが、私は「大丈夫」とだけ答えました。
もし、このしこりが癌だとしても治療は長年通っている総合病院でしてもらおうと、すでに決めていました。

 それには、3つの理由があって

1)癌治療は手術したら終わりじゃない。長い治療生活に入ることになる。
通院しやすい場所が楽。
もし、体力が激落ちしても(マイカーが無いので)タクシーで通える場所にあることが大切な要件。
2)コロナ禍の病院探しは得策ではないと考えた。
治療開始が遅くなることが不安。
また新しい主治医にピンとくるものがなかったら迷いが自分の中に生じる。
自分は人なれするのに時間がかかる質でもある。
3)直感に従う(←これが一番の理由)

 初診の日をスタートにして、いくつも枝分かれしている図が私のこれからの生きる道に現れました。
行きついた先の結果が見えれば、間違いなく辿っていけるのに見えません。
分かれ道にさしかかる度に、選択していかなければなりません。
ここからは、自分の直感と経験と新たな学びと、そして専門家の力を借りて、後悔しないように生きる、自分総力戦です。

主治医の診察

生検の結果

 詳しいことは、もう少しかかるとのことで、次回の受診日に聞くことになりました。
この日にわかったことは、癌であること、腫瘍の大きさが1.5センチ、浸潤性乳管癌であるということでした。

センチネルリンパ生検

 次に主治医から、センチネルリンパ生検の説明を受けました。
胸に注射で薬剤を入れ、センチネルリンパ節を見つけ、取り出し、そこに癌が転移していないかを知らべる検査です。
センチネルリンパ節は、乳癌細胞が浸潤した場合、リンパ節の中で最初に到達する場所だそうです。
その検査で転移が無ければリンパ節郭清はせず、有れば手術時にリンパ節郭清を行うということでした。
こちらの病院は、術中迅速診断ではなく、結果が出るまで2週間を要し、その後、手術となるとのことでした。

胸に打つ注射が痛いらしい ー イヤ
センチネルリンパ節に癌が見つかったら、大きくリンパ節郭清しなくちゃならない ー イヤ
手術日が遅くなる ー イヤ

 いくつものイヤが頭の中を駆け巡って、とっさに私は「先生、センチネルリンパ生検しないで、手術の時に先生が必要だと思うだけ、リンパ節とってもらうのはダメですか?ガッツリ取ってもらっても良いんで、先生のお見立てで同時にやってもらえたら」とお願いしてみました。
すると、主治医は、ちょっと笑った感じで「できなくはないけど、リンパ節はたくさん取ると、あと困るからガッツリは取らないよ」と、意外にもオッケーもらえました。
いやぁ~、頼んで良かった、ホッとしました。

全摘か部分か

 初診の時に、癌だったらできるだけ早く手術したいと伝えてありました。
全摘か部分切除かについては、乳頭と原発巣がつながっていそうなのと、部分切除後に断端陽性であれば再手術となること、また部分切除だと放射線治療に平日一ヶ月ほど通わなくてはならないことを考えて、自分のなかでは全摘で心は固まっていました。

その上で、主治医の考えをお聞きしたくて尋ねました。
「先生は男のかたなのであれですけど、先生がもし私と同じような状況でしたら、全摘と部分のどちらを選ばれますか?」すると、主治医は、えっ、ええ~っ⁈と言いつつ、笑顔になって、そのあと真顔になって答えてくれました。
「もしも僕の家族がそうなったら、全摘を勧めるかな」と。
それを聞いて、やはり全摘することに決めました。

 いよいよ右胸とは、さようならするのだなぁと胸がいっぱいになりました。35歳頃に良性のしこりができて、小さな部分切除をして以来、ずっと不調だった右胸でした。
取った後、平坦な胸になったとしても、傷痕がきれいなら元気でそう。
主治医に呆れられると思いつつも「手術痕がきれいだと、そのあとの生きていくモチベーションが上がりますので、よろしくお願いします」と言ってみました。
先生、軽くうなづいて「傷は10から15センチくらい一本の痕は残るよ」と言われました。
そして、大胸筋は残すけれど、胸膜は取るよと。
胸筋温存乳房切除術という術式であること。
手術後にタキサン系、TC療法という化学療法をするかもしれないことを話してくれ、TC療法の冊子を渡してくれました。

手術日を決めた

 「できれば、なるたけ早く手術を受けたいのですが」と伝えました。
主治医は手帳を開いて「いつにしようか?12月中旬までのどこかか、年末は休みも入るから、そうなると1月の早いところで」と。まるでランチの約束でもしているかのよう…いやいや手術日ですから。
「12月中のどこか空いている日はありませんか?」と言うと、主治医は「10日入院の11日手術でどう?」と。手術日は、12月11日金曜日に決まりました。

 主治医から手術に関しての説明があり、同意書等の用紙や、唾液によるPCR検査キットをもらいました。
手術前にしておかなくてはならない検査(血液検査、胸のレントゲン検査、心電図検査、呼吸機能検査)があるそうで、翌日の11月26日にすることに決まりました。
また、手術の説明を家族と一緒に受けることも必要だそうで、それは12月3日に決まりました。
その時に、あらかじめ記入した同意書とPCR検査の検体を提出することになりました。

おまけ

 この病院の1階ロビーに売店があって、そこでご近所の知人が働いています。
その売店は、入退院受付と向かい合っていまして、見えちゃいます。
知られたくないというのが正直ありまして、ちょっと憂鬱… おまけにこの日、入院に必要な紙おむつ等のセットを買うことになり…まいったです。
しかし、売店をチラッと覗いたところ、知人の姿はなく、別のかたがレジにいらしてホッ。無事、購入を済ませることができました。

 癌と告知されてから、決めなくてはいけないことが目白押しな時期でした。
そして乗り越えなくてはいけないことも次々とやってくる時期でした。
同じような立場に、今いらっしゃる皆さん、がんばってくださいね。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
                    
2021.7.20


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